【IVC分析レポート】成功するのは連続起業家と新規起業家のどちらか?
投資家は成功率の高さを想定して連続起業家を好む傾向にある。しかし、連続起業家の方が起業成功率は高いものなのだろうか?彼等の方が好条件でエグジットが保証されているのだろうか?資金調達もしやすいのだろうか?IVCでは、本当に連続起業家の方が成功率が高いのか、それともこれはただの神話なのかを分析した。
IVCの分析では、新規起業家と連続起業家との違いが定量的に見受けられる。
データ上でハッキリしたことは以下のとおりである。創業メンバーに連続起業家がいる会社は、いない会社よりエグジット(上場もしくは売却)で30%の好リターンを出していた。
起業家の経験と知識は重要な要素であり、これはスタートアップでも同様のことが言える。経験値の高い起業家の方が組織やチームを効率的に動かし、少ない資金で好リターンの案件でエグジットを果たす傾向にある。下記のグラフ1は連続起業家、新規起業家の平均マルチプルと資金調達額とを比較した表である。この金額からも連続起業家の方が成功率が高い事がうかがえる。
(グラフ 1:左は新規起業家、右は連続起業家を示し、青色は平均マルチプル、オレンジ色は資金調達額を示す)
また、IVCでは850以上ものエグジットを元に研究を行った。その中で2.94倍の平均マルチプル及び$10M(11億円程度)の投資額を受けた会社のうち、340近くの案件で連続起業家によるものが存在した。
さらに下記IVCの分析では、実際の金額の入りと出のマルチプルで本当の意味での連続起業家と新規起業家の差を示している。
(グラフ2:縦軸は資金調達額、横軸はエグジットの案件金額を示し、青色は連続起業家、赤色は新規起業家を示す)
投資案件数と案件のバリュエーションを比較分析すると、案件によっては非常に高いマルチプルや投資額を示しているものがある。全体的に、新規起業家は連続起業家に及ばない傾向がみられるが、それは超高マルチプルの案件(45倍以上)を除くと顕著に表れてくる。これらの極端な案件が新規起業家のリターン率に影響するので、これを除いて計算すると、大体平均として連続起業家の方が30%程度リターン率が高いことがわかる。
結論としては、連続起業家の会社への投資はリスクが低く、高リターンを得られる。ただし、さらに高いリターンを求める投資家は新規起業家に賭けてみるという考え方もあるだろう。
(グラフ3:左は新規起業家、右は連続起業家を示し、青色は平均マルチプル、オレンジ色は資金調達額を示す。グラフ2との違いは超高マルチプル案件を除外)
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