【IVCレポート】資金調達時間からみる世界各地のスタートアップ比較 - IVC、Crunchbaseと提携
イスラエルのデータ会社IVC Research Center(以下:IVC)は、企業が行う資金調達ラウンドと次のラウンドまでの間隔と、地理的な要因や調達額との関係を調査した。またIVCは、Crunchbaseとの業務提携を通し、アメリカ、カナダ、ヨーロッパそしてイスラエルにおける資金調達活動に関するデータを調査した。
イスラエル、アメリカおよびヨーロッパにおける資金調達ラウンド間に要する期間
CrunchbaseとIVCが2010年9月から継続的に行ってきた分析によると、2019年にはアメリカ系企業の多くがイスラエルやヨーロッパと比較した際、シリーズAのラウンドを最短時間で調達していることが明らかとなった。アメリカ系企業が平均は約15ヶ月間でシリーズAを完了しているのに対し、イスラエルでは約21ヶ月間、ヨーロッパでは約17ヶ月かかっていることが判明した。一方で、A以降のラウンドに行くに従って事態は逆転するようだ。
下の図から明らかなように、イスラエル企業は資金調達のライフサイクルを継続しているため、追加の資金調達ラウンドを受け取るのにかかる時間は他の国に比べてより少なくなっている。他方、アメリカ系企業がシリーズA以降のラウンドを調達するには、シリーズAと比べてより時間を要していることがわかる。
図1:スタートアップ企業がシリーズAラウンドの資金を調達するまでの時間(年)と確率分布
大規模なラウンドはより多くの資本を迅速に調達
また、本調査によって興味深い傾向が明らかとなった。分析によると、ラウンドの規模が大きくなるほど、小・中規模のラウンドよりも短時間に調達が完了する傾向がある。背景には大規模な ラウンドを調達する企業は、より成熟して知名度が高い企業であることが考えられる。
また、これらの企業はすでに投資家と共有するための膨大な財務データと結果を持っているため、投資家の意思決定が迅速になりやすい。 さらに企業の知名度が上がることで、メディアが企業の成功や失敗を取り上げることが増え、結果的に資金調達に関する切迫感が高まる傾向にある。
他にもIVCは、年数と場所ごとに、中央値と確率分布を下の図で表している。これらの3つ国の中央値がA以降のラウンドでより類似することを示している。
図2:シリーズAラウンドのサイズと資金調達期間の地域比較
IVCとCrunchbaseが提携
CrunchbaseとIVCは、成長を続けるイスラエルのハイテクエコシステムに関する 情報収集を増やすために業務提携を行うことを発表した。 8600を超えるスタートアップ企業、年間約80億ドルの投資、600を超える世界的な投資家や企業の参入、25年に渡って活気のあるエコシステムにより、世界中のテクノロジートレンドやイノベーションにおけるイスラエルの重要性は急速に高まってきている。
IVCの共同設立者兼CEOであるGuy Holtzmanは、「今回のパートナーシップ提携により、IVCは米国市場で地位を確立し、Crunchbaseはイスラエルのハイテクエコシステムに関するより詳細な知識を得ることができるだろう。」と述べている。
IVC Research Centerに関して
IVC Research Centerは1997年に設立された会社で、イスラエルのハイテク産業に特化した企業情報、市場調査レポート、要望に応じたカスマイズレポートなどの情報サービスを提供している。現在保有しているアクティブな企業データは8,000社を超える。このデータは、現在の投資や技術のトレンドの全貌を掴むため、あるいは今後のトレンド予測にもとても有用であり、国内外の政府関係機関や大手ハイテク企業、VCを含む投資家など幅広い企業や人に利用されている。
Jakore, Inc. はIVC Research Centerと事業提携を結び、イスラエル現地のスタートアップ情報を提供しています。詳しくはお問い合わせください。
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