【IVCレポート】イスラエルのハイテク企業資金調達動向(2019年第1四半期) - 128件のディールで計15.5億ドルの資金を調達(前編)
イスラエルのハイテク企業は、2019年第1四半期に128件のディールで計15.5億ドルの資金を調達した。過去最高額の調達が行われた2018年第4四半期に続き、2019年の第1四半期も上昇傾向を示した。2018年第1四半期と比較して、イスラエルのハイテク企業が調達した資金の合計額は28 %上昇し、ディール件数は15%上昇した。
5,000万ドル以上の大規模なディールが5件あった影響で、調達額の中央値は600万ドルに達した。その内1億ドルを超える資金を調達した企業はInnoviz(1.32億ドル)とDriveNets(1.11億ドル)の2社で、各々が調達総額の16%を占めた。
表1:イスラエル・ハイテク企業の資金調達の変化(2014年Q1〜2019年Q1)
資金調達のシリーズと企業の成長ステージにおける傾向
イスラエルのハイテク業界における投資傾向は、直前の2018年第四半期と同じパターンをたどった。
[資金調達シリーズ]
シードラウンド: 2019年第1四半期のシードラウンドへの投資は5,100万ドルに及び、2018年第4四半期の9,400万ドル、第1四半期の5,400万ドルと比較して減少した。シードラウンドのディール件数(28件)は、2014年から2018年までの過去の四半期のディール件数と同程度であった。
シリーズC: IVCの分析によると、レイターラウンドへの投資が17件のディールで約2.06億ドルへと減少した一方で、シリーズCへの投資は急上昇した。2019年第1四半期におけるシリーズCの調達額は17件のディールで4.76億ドルに達し、過去4年間におけるディール件数と資金調達額の両方で最高値を更新した。2000万ドル以上の資金調達が、2019年第1四半期全体の調達額の64%を占めた。
[成長ステージ]
アーリーステージ: アーリーステージへの投資額は2018年の第4四半期に一度は上昇したものの、2019年第1四半期は昨年度に引き続き低い値のままであった。
レイターステージ: 第1四半期におけるレイターステージ企業への投資と投資額の増加に繋がった。この背景には投資家の、リスクを抑え穏やかなリターンを好む近年の傾向が影響していると見られる。
表2:イスラエル・ハイテク企業の資金調達におけるディールサイズの変化(2014年Q1〜2019年Q1)
ZAG-S&Wの創立者であり業務執行取締役(Managing Director)のShmlik Zysman氏 は「2019年はイスラエルのハイテク企業にとって好調な幕開けとなった。我々は、資金調達の合計額と取引件数の双方の観点から2019年の第1四半期が過去6年間で最も良い結果に終わったことを踏まえ、とても楽観的である。楽観視しているもう1つの理由には、全体の投資のなかで、ベンチャーキャピタル(以下:VC)ファンドの割合が過去5年間でもっとも高いことが挙げられる」と述べている。
同氏は加えて以下のように述べている。「第1四半期では、『小冒険的なVC(“less venturous venture capital”)』の傾向が続いた。この傾向は、ミドルからレイターステージの企業への投資の増加が裏付けている。対照的に、シードからアーリーステージの企業への投資はいくらか減少している。」
後編では、ディールの種類ごとの資金調達動向およびテクノロジーの分野ごとの資金調達動向をレポートします。
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