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インターン生活ではじめて知ったイスラエルならではのビジネス文化


第2のシリコンバレーとして世界中から注目を集めるイスラエル。

”先進的なハイテクスタートアップや名だたる企業のR&D(研究開発)の拠点があり、イノベーションの源泉として世界中から投資が集まる国 ‘’ ーそれがインターンとして現地に来る前に私が持っていたイスラエルのイメージです。そして現地入りして数ヶ月、イスラエルが第2のシリコンバレーと呼ばれる所以を感じる毎日です。

イメージ先行でイスラエル入りした私にとって、現地での経験は本当に刺激的なものでした。スタートアップのミーティングやイベントに参加し、イスラエルのエコシステムに足を踏み入れてみると、日本のビジネスシーンで見る光景とはあまりにも違うのです。今日は数ヶ月間、現地で働いて気がついたイスラエルと日本の文化の違いについて書いていきたいと思います。

1.細かいところまでおおっぴらにディスカッションをする文化

イスラエルのスタートアップとミーティングをして驚いたのは、細部まで、そしておおっぴらにディスカッションをする文化があるということです。

街中では歩きながら電話している人がとても多く、3時間程度のビジネスイベントはネットワーキングに始まりネットワーキングで終わることがほとんどです。ミーティングでは開始とともに質問が飛び交い、間髪入れずに話し合いが進みます。会話のテンポがとても早く、細部まで徹底的に議論を重ねていることが多いようです。そして、みな自分の意見をはっきりホンネで話していると思います。(イスラエル人上司のヨニーも、ミーティングでは”To be honest with you”とよく口にしました)

会話のテンポと言えば、12月に来たばかりの頃、初めて打ち合わせに同行した際のエピソードが忘れられません。ちょうどハヌカという一年に一度のユダヤ教のお祭りの時期のことです。ミーティングに同行し先方のオフィスに伺ったところ、ハヌカのお祝いに欠かせない「ハヌキア」という燭台が机に置かれており、色とりどりのロウソクには火が灯されたところでした。(クリスマスの時期に8日間火を灯し続けるのです)

先方にフランクに迎えられ、挨拶の握手や自己紹介をすると、まもなくミーティングがスタート。と同時に、会議室はまるで「戦場」のごとく質問とトークの嵐になりました。一方が何か質問するともう一方がマシンガンのように打ち返してきます。話の途中だろうと次から次へと他の質問や自分の考えを口にします。そして気がつくと1時間半がすぎ、ハヌキアのロウソクは消えていたのです。ロウソクが消えたのに誰も気づかないほど間髪入れず、会話が続いていたことに驚きました。

その後もイスラエル人同士のミーテイングに参加しては早すぎる会話のテンポに割って入ることができず、悔しい思いをたくさんしました。しかし、このイスラエルのおおっぴらに細かい所まで話し合う文化があるからこそ、互いを深く理解し信頼することができ、素早く次の行動に移れるのではないかと感じました。

このように、イスラエルでは早いスピードで細部まで情報を共有し、徹底的にディスカッションが行われるためか、ミーティングでメモを取っている人は殆どいません。そして、初めて会った相手でも、ミーティングの後には必ず次のアクションがあることが多いのも特徴です。単なる情報共有や情報交換という場に終わることが少ないのです。いかに早くパートナーや顧客を見つけマーケットを切り開きサービスを拡大させるかを考えているスタートアップが多いからかもしれません。

2.早いサイクルでマーケットを切り開く文化

イスラエルはアメリカやヨーロッパ、日本と比較すると自国内の市場が小さいと言えます。

だからこそ事業展開が素早く、ニーズに見合ったサービスを作り、海外の有望な市場に展開していることはよく知られています。私もこちらへ来てイスラエル企業のスピード感を実感する機会が多々あります

顕著な例の一つがミーティングの日程調整です。イベントやコワーキングスペースで出会ったイスラエルのスタートアップの方と次似会う予定を決めようとすると「明日か明後日はどうですか?」と聞かれることが多いのです。日本であれば「一週間後のいついつで可能ですか?」などということが多いのではないでしょうか。ミーティングひとつにしてもスピードを求められることは多いのだと感じます。

もう一つ、私がもっともイスラエルの企業のスピード感を意識したのは私達が使っているオフィスです。以前も紹介させていただきましたが、私達のオフィスはAzrieli Sarona Towerというビルの58階から60階のコワーキングスペースに入っています。ここはとても新しく綺麗で、Facebookや名だたるイスラエルのユニコーン企業が入っています。高さも238m(六本木ヒルズと同じ高さ)と立派なビルにもかかわらず、実は今でもまだ完成していないのです。まだ使えないエレベーターがあったり、ロビーの外側のガラスを貼る土台の部分などはいまだに工事中です。

想像してみてください。六本木ヒルズほどのビルが土台の完成を後回しにし、まずは最上階まで多くの企業を入居させ、マネタイズできる部分からビジネスを始めているのです。日本では考えられないのではないでしょうか。ここにはスピードの差を感じました。

このように、イスラエルでは未完成のままでもまずはビジネスを始めている場面によく出くわします。小さいサイクルをスピーディに回すことでマネタイズを考え、マーケットを切り開いてるのだと強く実感しました。

3.Everyone knows everyone の文化

そして最後に、とても日本のスタートアップの文化にも似ている部分でもある「Everyone knows everyone」の文化についてです。

イスラエルは小さい国で、最大の都市であるテルアビブですら人口は38万人です。先程紹介したように、イスラエル人はフランクでオープンなディスカッション・コミュニケーションを好む気質からか、知人同士がつながっているというのはよくあることのようです。

ミーティングの最初に互いのバックグランドについて話すと、共通の知り合いや友達の名前が出て一度盛り上がってから本題にはいることも多いように思います。

そして、この小さなエコシステムの中ではその人や会社に関する良い話も悪い話もあっという間に広がります。そこで評判が良かったり信頼されている人と仕事をしようとするのも「Everyone knows everyone」の特徴ではないかと思います。そのため長期的に滞在し相手に入り込んでいくような付き合いをしていくことがイスラエルのコミュニティーやネットワークに入っていくためには重要だと感じました。

さいごに

今日ご紹介したのは、私なりに現地で感じたイスラエルらしさのほんの一部です。Jakoreでインターンとして3ヶ月間働くことで、日本ではありえないような貴重な経験をすることができました。就業期間を終えるいま、とても充実した気持ちです。

私のように「イスラエル=第2のシリコンバレー」というイメージだけでイスラエルに来て衝撃を受けて帰るというのもなかなか面白い経験でしたが、これからイスラエルで働く方には、現地現物の前に私たちのブログでイスラエルと日本の文化の違いなどを知っていただければ嬉しいです。きっとイスラエルの「Everyone knows everyone」の文化に入るためのヒントが見つかると思います。


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